【恋愛小説】『ある男』平野啓一郎
愛したはずの夫は、
まったくの別人であった。
20万部突破のロングセラー「マチネの終わりに」から2年 。
平野啓一郎の新たなる代表作!
”愛にとって過去とは?”
その問いにサラッと答える美鈴の言葉が印象的だった。
戸籍に関することや在日、人種差別問題。
関東大震災後、日本で悲惨な事件が起きていた事実を知って胸が痛くなった。この本を通して色々な問題に触れながら考えさせられる一冊٩( ᐛ )و
【内容紹介】
弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。
長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。
ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。
悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。
人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。
「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。
【著者紹介】
1975年、愛知県生まれ。北九州市出身。
1999年、京都大学法学部在中に投稿した『日蝕』により芥川賞受賞。
数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。
2008年からは、三島由紀夫賞選考委員を務める。
主な著書は、小説では『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊 』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)『ドーン』『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』、エッセイ・対談集に『考える葦』『私とは何か「個人」から「分人」へ』『「生命力 」の行方 変わりゆく世界と分人主義』などがある。