かあびいblog

読書と寝ることが好きです。

【世界的ロングセラー本】『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル

 

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【商品内容】

〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉
「言語を絶する感動」と評され、人間の偉大と悲惨をあますところなく描いた本書は、日本をはじめ世界的なロングセラーとして600万を超える読者に読みつがれ、現在にいたっている。
原著の初版は1947年、日本語版の初版は1956年。その後著者は、1977年に新たに手を加えた改訂版を出版した。
世代を超えて読みつがれたいとの願いから生まれたこの新版は、原著1977年版にもとづき、新しく翻訳したものである。

心理学者、強制収容所を体験する―飾りのないこの原題から、永遠のロングセラーは生まれた。“人間とは何か”を描いた静かな書を、新訳・新編集でおくる。

1945年に出版されたヴィクトール・フランクルナチス強制収容所経験に基づいた書籍作品である。

私は去年の3月に新版を読了した。

内容が今の時代とかけ離れているので、このような悲惨な時代があったという現実を受け止めることに少し時間がかかった。胸が苦しくなりながら読んだのだが、「人間としての尊厳」について、「生きる」ということについて改めて考えさせられた。一度は読むべき本であると思う。

 

”「この本は冷静な心理学者の眼でみられた、限界状況における人間の姿の記録である。そしてそこには、人間の精神の高さと人間の善意への限りない信仰があふれている。だがまだそれは、まだ生々しい現代史の断面であり、政治や戦争の病誌である。そしてこの病誌はまた別な形で繰り返されないと誰がいえよう。」”

 

”収容所に入れられ、なにかをして自己実現する道を断たれるという、思いつく限りでもっとも悲惨な状況、できるのはただこの耐えがたい苦痛に耐えるしかない状況にあっても、人は内に秘めた愛する人のまなざしや愛する人の面影を精神力で呼び出すことにより、満たされることができるのだ。”

 

”強制収容の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的を持たせなければならなかった。被収容者を対象とした心理療法や精神衛生の治療の試みがしたがうべきは、ニーチェの的を射た格言だろう。「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」

 

ーあらゆる物を奪われた人間に残された、たった一つのもの、それは与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由である。ー

 

自分のあり方を自由に決められる私は、ほんとうに幸せだと思う。

 

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【著者紹介】

ヴィクトール・E・フランクル
Viktor Emil Frankl
1905年、ウィーンに生まれる。ウィーン大学卒業。在学中よりアドラーフロイトに師事し、精神医学を学ぶ。第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を、戦後まもなく『夜と霧』に記す。1955年からウィーン大学教授。人間が存在することの意味への意志を重視し、心理療法に活かすという、実存分析やロゴテラピーと称される独自の理論を展開する。1997年9月歿。
著書『夜と霧』『死と愛』『時代精神の病理学』『精神医学的人間像』『識られざる神』『神経症』(以上、邦訳、みすず書房)『それでも人生にイエスと言う』『宿命を超えて、自己を超えて』『フランクル回想録』『〈生きる意味〉を求めて』『制約されざる人間』『意味への意志』(以上、邦訳、春秋社)。

池田香代子
いけだ・かよこ
1948年東京生まれ。ドイツ文学翻訳家。
主な著書に『哲学のしずく』(河出書房新社、1996)『魔女が語るグリム童話』(正は宝島社、1999 続は洋泉社、1998)『世界がもし100人の村だったら』(マガジンハウス、2001)『花ものがたり』(毎日新聞社、2002)など。
主な翻訳にゴルデル『ソフィーの世界』(NHK出版、1996)、『完訳クラシック グリム童話』(全5巻、講談社、2000)などがある。『描たちの森』(早川書房、1996)で第1回日独翻訳賞受賞(1998)。