かあびいblog

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特別養子縁組とは…【映画化された小説】『朝が来る』辻村深月

ー「子どもを返してほしいんです」ー

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【内容紹介」

「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった…。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。

 

今年の10月には映画化もされた小説。

見てみたい。

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私は本書を2018年に読了した。

不妊治療の末、子どもを諦めた夫婦が特別養子縁組で男の子を養子に授かり、その子を朝斗(あさと)と名付けた。朝斗の産みの母であるひかりは中学生で妊娠し、断腸の思いで朝斗である子どもを手放し養子に出した。その産みの母であるひかりがある日突然、夫婦の元に朝斗を「返してほしい」と訪問してくるという内容。

子どもに対するそれぞれの葛藤に読んでいて辛くなる、結構重い内容だったのだが、”特別養子縁組の制度”を本書で深く知ることができた。

この2人を結んだ「ベビーバトン」という養子縁組の団体があったように、子どもを産めなくて悩まれている方や、事情により育てることができない母親、この世に授かった子どもの未来の為にある制度があることに、もっと深く世に広まってほしいと思った。

特別養子縁組とは…(認定NPO法人 Florence 赤ちゃん縁組 からの引用)

子どもが生涯に渡り、安定した家庭で特定の大人の愛情に包まれて育つために作られた公的な制度です。

何らかの事情で生みの親が育てることができない子どもを、育ての親に託し、子どもと育ての親は家庭裁判所の審判によって戸籍上も実の親子となることができます。

特別養子縁組を仲介する機関

特別養子縁組を仲介する機関としては、行政機関である児童相談所と、民間団体があります。フローレンスも民間団体のひとつです。

児童相談所・民間団体共に予期せぬ妊娠・望まぬ妊娠をして悩む女性の相談に乗り、それと同時に育ての親になりたい夫婦の審査・登録受付を行なっています。生みの親が出産後、育ての親となる夫婦をマッチングし、赤ちゃん(子ども)を託します。 

 

本書から、家族のかたちってさまざまなんだなって感じた。

血の繋がりだけが家族と言うのではない。血の繋がれていない親子だとしても家族であり、幸せなのだ。自分や相手の幸せのために覚悟を持って生きている人たちを本当に尊敬する。

産みの母の気持ち、養子に授かった母親の気持ち、どちらの立場になっても辛いものがあったが、最後はお互いが穏やかな気持ちで子どもを見つめる瞳に心震わされた。

それぞれの想いを捉えさせてくれた本書には感謝。

【著者紹介】

辻村/深月
1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)