かあびいblog

読書と寝ることが好きです。

【映画化されている小説】『長いお別れ』中島京子

 

認知症の父と家族のあたたかくて、切ない十年の日々。 

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【内容紹介】

帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。

 

 保存していた一節٩( ᐛ )و<⬇︎⬇︎

屈託なく自分を見つめる母の瞳に映る自分が、もう「息子」ではないことを晴夫は意識する。それでも母は、嬉しそうに笑いかけ、ねえ、と少し悪戯っぽい表情で続けた。「私、あなたのことが好きみたい」

晴夫は少し泣きそうな顔で笑い出す。

 

アメリカでは認知症のことを「長いお別れ(long goodbye)」と言うらしい。少しずつ記憶を失くしてゆっくりと遠ざかっていくから。人間の領域から神の世界へと映る。

と、解説をした川本三郎が話していて、認知症そのものを受け止める考え方がとても大事だと考えさせられたし、ずっと尊厳が保たれるのだなと思った。

わたしの中で、とても感銘を受けたことば٩( ᐛ )و

 

 

映画も有名だね٩( ᐛ )و<見てみたい!

竹内結子さんも主演されていたんだ。

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【著者紹介】

中島/京子
1964年生まれ。2003年、田山花袋『蒲団』を下敷きにした書き下ろし小説『FUTON』で作家としてデビュー、野間文芸新人賞候補となる。2010年『小さいおうち』で第一四三回直木賞を受賞、2014年山田洋次監督により映画化される。同年『妻が椎茸だったころ』で第四二回泉鏡花文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)